コラム
使用前安全管理検査
当社は安全管理審査、受審の支援を行っております。
安全管理審査には「システム安全管理審査」と「個別安全管理審査」があります。自家用電気工作物(需要設備)は全て個別安全管理審査の対象となります。
使用前安全管理審査までの工程の流れ
使用前安全管理審査申請に必要な書類
使用前安全管理審査申請書・・・・・・・・・・・正・副2部
審査手数料 【新設】 119,400円 【変更】 75,100円
使用前安全管理審査調査票・・・・・・・・・・・1部
工事計画の記載事項等の変更について・・・正・副2部
使用前安全管理審査の内容
- 使用前安全管理審査は産業保安監督部の審査官が現場にて審査を行います。
- 審査は主に文書審査で、使用前自主検査の実施方法が適切か否かということを使用前自主検査要領書・試験記録表で確認されます。
- 審査終了後、受変電設備の外観を検分し工事計画届出書と相違がないか確認されます。
- 審査終了後、審査の確認書に審査官と設置者(電気主任技術者)が署名し、双方で確認して保持します。
- 後日、産業保安監督部より評価通知が郵送されてきます。
使用前安全管理審査制度について
電気事業法の安全管理審査制度について
平成12年7月1日より
国が直接電気工作物の技術基準適合性を検査(使用前検査)する規制を無くし、代わって設置者が自主検査を行って技術基準適合性を確認し、検査記録を保存することが義務づけられました。
設置者は上記で行った自主検査の体制(検査方法)について国の審査方法を受け取ることが義務づけられました。
工事計画の届出をした施設のうち使用前(法定)自主検査が必要なものは(施行規則第73条の2)国の検査を受け取ることが無くなり、代わって使用前安全管理審査が実施されることになります。
安全管理審査において、法定自主検査が適切に行われていない疑いが生じた場合には、立入検査・報告命令・任意調査によって事実関係を確認し、違法行為が行われていることが明らかになったときは罰則適用等の処置となります。
使用前安全管理審査概要について
(平成12年7月1日より施行)
1.安全管理審査導入の趣旨
事業者用電気工作物の保安確保にあたり、電気事業法では、国が電気工作物の技術基準適合性等を直接確認する規制体系をとってきました。具体的には、一定の事業用電気工作物については、工事計画の認可・届出に係らしめるとともに、通商産業大臣が使用前検査・溶接検査・定期検査を行ってまいりました。
しかしながら、近年の技術進歩・設置者等による自主的な保安確保のための取組の浸透等を背景として、国が直接電気工作物の技術基準適合性等を確認するのではなく、設置者等の自己責任の下で保安確保のための取組をより一層推進することを促すことの方がより合理的な規制体系であると考えられるようになりました。
このような考え方に基づき、平成11年の通常国会において電気事業法が改正され、安全管理審査制度が導入されました。安全管理審査制度の骨格は以下の通りです。(以下参照する条項は、特に注記がなければ改正後の規定です。)
国が直接事業用電気工作物の技術基準適合性等を検査する規制をなくし、代わって、設置者が自主検査を行って技術基準適合性等を確認し、検査記録を保存することが義務づけられます。(電気事業法第50条の2第1項・第2項、第52条第1項・第2項、第55条第1項)
設置者は、①で行った自主検査の体制(組織、検査方法、工程管理等)について、国の審査を受けることが義務づけられています。(電気事業法第50条の2第3項・第4項、第52条第3項・第4項、第55条第2項・第3項)
国は、審査結果に基づいて設置者の自主検査体制を評定し、設置者に通知します。通知された評定結果が優良であれば、以後の審査頻度が軽減されます。(電気事業法第50条の2第3項・第6項・第7項、第52条第3項・第5項、第55条第2項・第4項)③に示すように、設置者の自主検査体制が優良であれば、当該設置者に対する審査頻度は軽減されます。このことにより、設置者に自主検査体制を整備するインセンティブをはたらかせ、自主保安を促進しようとするのが安全審査制度導入の趣旨です。
なお、安全管理審査の評定が優良でなくとも、直接罰金等の罰則が科されることはありません。また、従来の検査と異なり、安全管理審査の評価が優良でなくても、直ぐに電気工作物の使用ができなくなるということはありません。ただし、自主検査を実施していない場合は、罰則の対象となり、安全管理審査の機会に電気工作物が技術基準に適合していないことが明らかになった場合には、技術基準適合命令の対象となります。
2.安全管理審査に係る設備
安全管理審査の対象となるのは、法定自主検査(使用前自主検査、溶接自主検査、定期自主検査)を実施した設置者です。
また、法定自主検査を実施することが必要となる電気工作物は、基本的に現行電気事業法で国の検査対象となっている電気工作物です。すなわち、
現行の使用前検査対象電気工作物≒改正後の使用前自主検査対象電気工作物
現行の溶接検査対象電気工作物≒改正後の溶接自主検査対象電気工作物
現行の定期検査対象電気工作物≒改正後の定期自主検査対象電気工作物
となります。これらの電気工作物については、改正電気事業法施行に伴い、国の検査を受け取ることがなくなり、代わって、法定自主検査→安全管理審査が実施されることになります。
なお、原子力関係設備に係る使用前検査・定期検査は電気事業法改正後も存続し、現行どおりの規制がなされることになります。よって、法定自主検査→安全管理審査という規制はかかりません。(溶接については、原子力も法定自主検査→安全管理審査の規制へと移行します。)
3.安全管理審査の受審単位
安全管理審査の受審単位は、同一の法定自主検査体制が構築される組織ごととなります。すなわち、設置者AがX発電所とY発電所とで別々の法定自主検査体制を構築している場合、安全管理審査はX、Yを別の対象として審査することになります。同様に、設置者Aがある検査においては下請会社Xに検査の一部を請け負わせ、別の検査においては下請会社Yに請け負わせることによって、2つの検査について異なる検査体制が構築されているといえる場合には、A-Xの組み合せとA-Yの組み合わせとは別の対象として審査します。
同一の検査体制が構築されいている組織の範囲は、設置者の個別事情によって異なることに鑑み、法令等で画一的に受審単位を設定するのではなく、設置者の判断に委ねられることとされています。ただし、電気事業審議会基本政策部会電力安全問題検討小委員会報告(平成11年)においては、1つの目安として、以下のような単位が安全管理審査の受審単位として示されています。
使用前自主検査 定期自主検査 溶接自主検査
火力設備 建設所・発電所 発電所 設備
原子力設備 - - 設備
送変電設備 建設所・支店 - -
需要設備 設置事業所 -
水力設備 建設所・工事事務所・支店 - -
検査の一部をメーカ等に下請けさせている場合であって、当該メーカー等が検査体制の良し悪しに影響を与えているようなとき(例えば、当該メーカー等が独自に検査マニュアルの一部を作成している場合等)には、メーカー等が異なれば別の組織と考えることが適当です。他方、検査マニュアル等は設置者自らが完全に整備し、下請けをあくまでも「補助」として使用している場合には、下請け会社が異なっても同一の検査体制の範囲にあると考えられます。なお、前者のようなケースにおいては、設置者のみならず、メーカー等の検査体制も安全管理審査の審査対象となります。
4.安全管理審査の受審時期
安全管理審査の受審時期は以下の通りです。
(1) 使用前安全管理審査(電気事業法施行規則第73条の6)
① 直近の通知で優良通知を受けている組織(直近の通知を受けてから3年を越えない時期に使用前自主検査を実施した組織に限る。)
直近の通知を受けてから3年~3年3ヶ月の間に安全管理審査を受審しなければなりません。
② ①以外の組織
使用前自主検査を行う時期ごとに安全管理審査を受審しなければなりません。
具体的には、水力発電所のダムについては使用前自主検査実施中、それ以外の設備については使用前自主検査終了後遅滞なく(原則1月程度)受審することが義務づけられます。
(2)溶接安全管理審査(電気事業法施行規則83条の2)
① 直近2回の通知で連続して優良通知を受けている組織(直近の通知を受けてから3年を越えない時期に溶接自主検査を実施した組織に限る。)
A.直近の通知を受けてから3年~3年3ヶ月の間、及び
B.耐圧試験を行う時期
に安全管理審査を受審しなければなりません。Bの時期には、耐圧試験実施中に受審することが義務づけられます。
このうち、原則、Aの時期にはシステム安全管理審査(後述)を実施し、Bの時期には個別安全管理審査(後述)を実施します。Bの時期に個別安全管理審査を実施した後は、法定自主検査の実施体制について非優良となる事実が明らかになったときに非優良通知を通知する場合を除き、評定結果は通知しません。
② 直近1回だけの通知で優良通知を受けている組織(直近の通知を受けてから1年を越えない時期に溶接自主検査を実施した組織に限る。)
A.直近の通知を受けてから1年~1年3ヶ月の間、及び
B.耐圧試験を行う時期(火力等)非破壊試験・機械試験・耐圧試験を行う時期(原子力)
に安全管理審査を受審しなければなりません。Bの時期には、各々の試験の実施中に受審することが義務づけられます。
このうち、原則、Aの時期にはシステムの安全管理審査を実施し、Bの時期には個別安全管理審査を実施します。Bの時期に個別安全管理審査を実施した後は、法定自主検査を実施体制について非優良となる事実が明らかになったときに非優良通知を通知する場合を除き、評定結果は通知しません。
③ ①、②以外の組織
溶接自主検査を行う時期ごとに、溶接自主検査実施中に安全管理審査を受審することが義務づけられます。
(3) 定期安全管理審査(電気事業法施行規則第94条の5)
① 直近の通知で優良通知を受けている組織(直近の通知を受けてから3年を越えない時期に定期自主検査を実施した組織に限る。)
直近の通知を受けてから3年~3年3ヶ月の間に安全管理審査を受審しなければなりません。
② ①以外の組織
定期自主検査を行う時期ごとに、定期自主権査終了後遅滞なく(原則1月程度)定期安全管理審査を受審することが義務づけられます。
5.安全管理審査の審査基準
安全管理審査制度の趣旨は、前述のとおり、設置者が継続的な安全管理体制を構築することを促すことにあり、原則、審査基準は、法定自主検査の実施体制が適切か否かを判断するという観点から設定された「システム管理実施者に対する安全管理審査の実施に係る審査基準及び審査項目」が適用されます(システム安全管理審査)。
しかしながら、法定自主検査の頻度が極端に少ない等の事情により、コストをかけて継続的な安全管理体制を構築することが必ずしも合理的でない設置者もあり、このような設置者に対しては法定自主検査の実施体制を審査する意義がないと考えられます。また、継続的な安全管理体制を構築している設置者についても、溶接安全管理審査における工程中審査(耐圧試験等の試験時に行う審査)においては、遂一法定自主検査の実施体制を確認する必要はないと考えられます。このような場合においては、個々の法定自主検査が適切な方法で処理されたか否かを判断するという観点から設定された「個別管理実施者及び法定自主検査の工程中に係る安全管理審査基準及び審査項目」が適用されます(個別安全管理審査)。
個別安全管理審査においては、個々の法定自主検査が適切になされたと判断されても、優良判定が下されることはありません(優良評定はあくまでも優良な法定自主検査実施体制を構築している組織に対してのみ下されるもの)。他方、個別安全管理審査で個々の法定自主検査が適切に行われていないと判断されたときには、電気事業法違反として罰則等に問われうることになります。
(1) システム安全管理審査
システム安全管理審査においては、品質保証システムの国際標準として広く受け入れられているISO9000シリーズの要求事項をベースとしつつ、法定自主検査に援用することが不適当な項目(「設計管理」等)を除くとともに、電気事業法に特有の項目(主任技術者に関する項目等)を加えて審査基準としています。
また、法定自主検査を実施する組織が既に安全管理審査に基づきシステム管理実施者としての評定を受けており、法定自主検査に当該評定を受けた安全管理体制が適用されることが確認される場合又は既に他の品質保証に関する認証制度により認証を受け、当該認証を受けた安全管理体制が法定自主検査に適用されることが確認される場合には、当該評定又は認証の対象及び基準の範囲内において、システム安全管理審査基準に揚げる項目の一部を省略することがあります。
(2)個別安全管理審査
個別安全管理審査においては、法定自主検査の実施方法が適切か否かということを立会・記録確認等で確認します。
6.安全管理審査の処理手順
(1)申請
設置者は電気事業法第73条の7、第84条及び第94条の6に基づき安全管理審査を受審すべき時期に安全管理審査の申請を行います。工程中審査及び法定自主検査に関する継続的な品質システムが整備されていないことが申請時に明らかな組織に対する審査については、個別安全管理審査を実施し、それ以外はシステム安全管理審査を実施するものとします。また、システム安全管理審査開始後、法定自主検査を実施する組織が後続的な法定自主検査体制を構築していないと明らかに判断された場合には、個別安全管理審査に切り替えるものとします。
(2) 審査体制
安全管理審査は、原則、文章審査・実地審査・評価を全て行うものとします。
文章審査においては、申請者の協力を得られる限り、関係資料の提出を受け、電気工作物設置者の法定自主検査に係る社内組織体制(システム安全管理審査に限る。)、電気工作物設置者の関係文書の整備状況等を確認するものとします。
実地審査においては、電気工作物設置者の組織体制・文書整備状況等について文書審査で確認できなかった点の確認、事業者があらかじめ規定した検査実施体制・検査実施方法等どおりに法定自主検査が行われたか否か、適切な方法で法定自主検査が行われたか否かについて、検査記録・検査関係者からの聞き取りによる確認、事業者があらかじめ規定した検査実施体制・検査実施方法どおりに法定自主検査が行われたか否か、適切な方法で法定自主検査が行われたか否かについて、法定自主検査に実際に立ち会うことによる確認(溶接安全管理審査、水力発電所のダムに係る使用前安全管理審査に限る。)等を行うものとします。
実地審査は、原則、法定自主検査が実施された事業所等で行います。但し、検査記録が法定自主検査が実施された事業所等と異なる場所で保管されている場合には、記録が保管されている場所においても併せて行うものとします。
また、システム安全管理審査に係る実地審査については複数名で実施するものとします。
(3) 評定・通知・その他
システム安全管理審査を行った結果、法定自主検査を実施した組織について、評価終了時までにシステム安全管理審査基準の全項目に適合する場合には、当該組織に対して、十分な法定自主検査実施体制が構築されている旨の通知(優良通知)を行います。また、システム安全管理審査基準に揚げる項目のうち、適合しない項目がある組織に対しては、その項目と理由を示すとともに、十分な法定自主検査体制がとられていない旨の通知(非優良通知)を行います。
直近のシステム安全管理審査において優良通知を受けている組織について、個別安全管理審査等にシステム安全管理審査基準に適合しない事実が明らかになった場合には、非優良通知を行いますがこれ以外の場合には、特段の通知は行いません。
個別安全管理審査を実施した組織(直近のシステム安全管理審査において優良通知を受けている組織を除く。)については、安全管理審査終了後、非優良通知を行います。
安全管理審査において、法定自主検査が適切に行われていない疑いが生じた場合には、立入検査・報告命令・任意調査等によって事実関係を確認し、違法行為が行われていることが明らかになったときには罰則適用等の措置を行います。